OBS studioの小ワザ その1では、配信画面のソースに関するマニアックな設定について触れました。今回は、配信中のマイクに乗るノイズをいい感じに小さくする小ワザを紹介していきます!
設定準備
配信中に自分の声が聞こえたら集中できなくなりますからね。文章量が多くて読みつかれたーという方は、以降は読み飛ばしておっけー。お疲れさまでした!楽しい配信ライフを堪能してください。
理屈っぽいお話
ここからは、興味のある方向けの内容です。
例として上図のようなマイクの入力信号があったと仮定します。音量の小さいところでノイズが入っており、しゃべったときにグラフが大きく上に波打っているという状況を想定しています。
- デバイス設定
まずはマイクデバイスを設定しましょう。
OBS studioの設定画面で音声タブをクリックし、マイク音声デバイスを設定しましょう。よくわからければ、とりあえず「既定」でいいです。後述するモニター機能で正しいデバイスが選ばれているか確認できます。
(余談ですが、「デバイス」はPCにつないだ色々な機材のことです。めんどくせー横文字ですが、マイクもキーボードもWebカメラも外付けHDDもプリンターも、PCから見ればぜーんぶ「デバイス」です。平等感。) - モニタリング設定
次に、マイク設定をする際に、実際に配信でどのような音声が流れ
るかを自分で確認したいですよね。
そこで、まずはマイクから入力された音をモニター機能でチェックしましょう。
ミキサー一覧の適当な歯車マーク>「オーディオの詳細プロパティ(A)」をクリックすると、↓のようなウィンドウが開きます。
ここで、マイクの「音声モニタリング」項目を「モニターのみ(出力はミュート)」もしくは「モニターと出力」に変更します。
正しいマイクデバイスが選択されていれば、この時点で自分がしゃべっている声やキーボードを叩く音などが聞こえると思います。聞こえない場合は、手順1でデバイスを設定してみましょう。
ノイズを減らすエフェクト設定
- ノイズ抑制
OBS studioには、優れた音声エフェクト機能があります。OBS上ではフィルタ機能という名称になっています。エフェクトをかけたい音声デバイスの歯車マークから「フィルタ」をクリックしましょう。
表示されたフィルタ設定画面の左下にある+マークから、適切な音声エフェクトを選んでいきます。
一番設定が簡単なのは「ノイズ抑制」です。やや音声が歪むというデメリットはありますが、サーっという環境音を簡単に取り除けます。
音声フィルタに「ノイズ抑制」を追加すると、↑のような画面になります。実際に音声をモニタリングしながら、いい具合にノイズが消えるようにスライダーを動かして設定完了。これだけで、気になる環境音はある程度抑制できます! - ノイズゲート
もう少し細かく設定して、音が歪まないようノイズを消したい!という場合には、「ノイズゲート」をおすすめします。「ノイズ抑制」とは異なり設定項目が多くはなりますが、設定次第ではしゃべっていない間の音声をOFFにできます。
5つの項目のうち、基本的には上2つの「○○閾値」を設定すればほとんど大丈夫です。
閉鎖閾値:入力音声の音量がこの値より小さい場合は音声をOFFにする(=一時的にミュートする)
開放閾値:入力音声の音量がこの値より大きい場合は音声をONにする
つまり、閉鎖閾値が最低限拾いたい音量、開放閾値がミュートを解除するきっかけの音量というイメージです。
まず、閉鎖閾値から設定するとうまくいきやすいでしょう。
普段しゃべるより小さいくらいの声で「あ~~~~」と発声しながら閉鎖閾値をずらしていきます。環境音が消え、なおかつ最低限聞かせたい音量の声が乗るポイントを探るイメージです。
次に開放閾値ですが、しゃべり始めは割としゃべっている途中に比べて音量が大きいので、閉鎖閾値より少し大きいくらい(+5~10dbくらい)でいいでしょう。
一度閾値を決めて、普通にしゃべってみて声が途切れなければおっけーです。声が途切れる場合は閉鎖閾値を左にずらしてみましょう。他の設定は初期設定で特に問題がないと思います。 - コンプレッサー
直訳すると圧縮。え?なんかすんごい勢いで空気ぶわーってする奴?いえいえ、今回ご紹介するのは聞かせたい音をより際立たせるためのエフェクトです。(歌ってみた系配信者なら必ず聞いたことのあるアレです、アレ。)細かい話は置いといて設定しましょう。
黄色く囲った3項目を設定すればおっけー。
比率(X:1):コンプレッサーの効き具合です。とりあえず初期設定の10.00くらいで試しましょう。
閾値:引き立たせたい辺りの音量です。厳密には深い意味があるのですが、わからない方は気にしないほうが精神衛生上よろしいです。これも実際にモニタリングしながらどの辺がしっくりくるか試行錯誤しましょう。
出力ゲイン:比率を大きくしたり閾値が左側にあると、圧縮された分音量が小さくなります。聞きながらちょうどいい具合に設定してバランスをとりましょう。
めちゃくちゃふわーっとした説明ですが、音量の設定は環境次第なので自分の耳で聞きながら試すのが一番です。
なお、左側にある「コンプレッサー」隣の目の玉マークをクリックする(目の玉マークに斜め線)と、該当のエフェクトを解除できるので、コンプレッサーの効き具合を元音声と比較・確認する際に便利です。
配信中に自分の声が聞こえたら集中できなくなりますからね。文章量が多くて読みつかれたーという方は、以降は読み飛ばしておっけー。お疲れさまでした!楽しい配信ライフを堪能してください。
理屈っぽいお話
ここからは、興味のある方向けの内容です。
例として上図のようなマイクの入力信号があったと仮定します。音量の小さいところでノイズが入っており、しゃべったときにグラフが大きく上に波打っているという状況を想定しています。
- 「ノイズ抑制」と「ノイズゲート」の違い
「ノイズ抑制」は、抑制レベル以下の音声を信号処理により減衰させます。常に信号処理が行われ、話している間も音声が減衰されてしまうため、歪みの原因となるのです。(上図はあくまで簡易的なイメージであり、厳密な信号処理とは異なります。)
対して、「ノイズゲート」は入力された音量が閾値を超えた時だけミュートを解除するため、必要な音声に対して特別な信号処理を行わず、音声が歪むことはありません。なお、上図は非常にシンプルなイメージとなっています。実際の設定では、2種類の閾値や3種類の時間などを設定することになります。 - 「コンプレッサー」とは
なぜコンプレッサーを使うことで話している声が聞き取りやすくなるのでしょうか。
元の音声信号(点線)に対して、閾値を超えた音を圧縮(赤線)する、というのがコンプレッサーの機能です。
通常、配信中はゲーム音やBGMなどがバックに流れている状態で話すことが多いでしょう。配信者の声は、無意識のうちに大きくなったり小さくなったりします。コンプレッサーを通すことで、マイクから入った声の大きさの幅(ダイナミックスレンジ)が狭まり、一定の音量で出力されることで聞きやすさが増えるのです。とはいえ入力音声を「潰して」いるため、「出力ゲイン」で最終的に音量を上げる方がいいでしょう。
マイクの位置によって声が小さくなったり大きくなったりということにお悩みの方に効果的なエフェクトです。
先ほど雑に説明した内容を、改めて解説しましょう。
比率(X:1):閾値を超えた信号を圧縮する比率です。この値が大きいと、上図の赤線は、より閾値に近く平らになります。DTMでは4:1が一つの基準となるようです。別名Ratio
閾値:入力された音声に対して、どの音量から圧縮を効かせるかの基準です。これに関しては、入力される音声信号(今回はマイクに入る声)次第で変えていくしかありません。別名Threshold
アタックタイム・リリースタイム:入力音声が閾値をまたいでからどれくらいの時間で圧縮を開始・終了するかの設定です。今回はマイク音に対してかけるだけなので特に気にする必要はありません。なお、DTMではこの数値によっても音色が変わるため、重要な項目だったりします。別名Attack、Release - 「ノイズゲート」の補足
2つの閾値については前述したとおりですが、その他の設定項目についても補足します。
動作開始時間:音声が開放閾値を超えてから実際にミュートを解除するまでの時間、別名Attack
保持時間:動作開始時間を超えてからミュートを解除し続ける最低時間、別名Hold
解除時間:音声が閉鎖閾値より小さくなってから実際にミュートするまでの時間、別名Releaseなんとなく察した方もいるかと思いますが、設定する項目がコンプレッサーと似ていますね。いずれも入力信号と閾値(Threshold)の大小関係をきっかけに信号を処理するエフェクトです。 - VSTプラグインの導入
音声に追加できるフィルタを見てみると、「VST 2.x プラグイン」なる項目があることに気づくと思います。これはDTMに用いられる様々なエフェクトや音源のことを指し、メーカーが提供する有償のプラグインから有志が製作したフリーのものまで幅広く存在します。
海外の有名サイトVST 4 Freeなどから、有用なプラグインが導入できます。ケロケロボイスやエコーなど、配信を面白くする隠し技が見つかるでしょう!
なお、OBSが読み込めるプラグインには下記の制限があります。(英文ソース:OBS wiki|Features Guide)- VSTのバージョンは2のみ
- 特定のフォルダにあるプラグインのみ読み込み可(上記ソースページで確認可)
- プラグインによってはクラッシュする可能性あり
VSTプラグイン自体は、音楽制作などで多くのユーザーがいます。「ケロケロボイス VST」や「VST 使い方」などで調べれば、有用な情報がたくさん見つかることでしょう!
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